こんにちは!シャンティです。
化粧品の歴史をひも解くカギとなるのは古代エジプトの遺跡です。
エジプト考古学博物館の一室には、鉱石を砕くパレット、香水瓶、鏡、カツラやアイライナーが入った小瓶などが展示されており、現在使われている化粧品や美容器具の原点がエジプトにあることがわかります。
左のような、くっきりアイラインの男女の絵。
エジプトの壁画でよく見られますが、このようなアイライナーは、現在のように外見を美しく見せる目的ではなかったそうです。
この時代のアイライナーの目的は、エジプトの強い日差しから目を保護したり、虫や細菌から目を護るためだったのです。
このアイライナーは、殺菌作用のある植物、ミルラやフランキンセンスの樹脂を焼いてすすを作り、そのすすを集めてアムラという粘性の高い植物油で練って作られたりしていました。
このことから、古代エジプトにおける化粧品とは、素肌の健康を保ち、肌トラブルを癒す薬のような役割だったことがわかります。
インドにも同じように目を護るためのアイライナーが存在します。
その製法は、殺菌力のあるニームやトリファラなどのハーブをギーと呼ばれる無塩バターと一緒に焼いてすすを作り、そのすすをアーモンドオイルやココナッツオイルで練るというもの。
ニームはインドの伝承医学アーユルヴェーダでとくによく使われる植物で、現代科学でも多くの薬効が認められているハーブです。
また、アナトリア(現在のトルコのアジア側)には、医療と化粧品の深いかかわりを示す痕跡が残っています。
紀元前7世紀ごろからローマ時代にかけて栄えたエフェソスという町。
エフェソスの遺跡の傍らにある考古学博物館には、エフェソスの神殿で発掘された医療器具と美容器具が一緒に展示されているそうです。
エフェソスの神殿で神官職を務める女性たちは、植物を使って病気を癒す治療医でもあり、助産師でもあり、美容家でもあり、
訪れる人々の悩みを聴いて薬や化粧品の調合をしていたのです。
それでは古来日本ではどうだったのかというと、
日本でも植物の効用を利用した化粧品がありました。
紅花を原料とする口紅は、婦人病を予防し、血行を良くするものでした。
現代の化粧品は、見た目を美しくする、外見を飾る目的になっていますが、昔の化粧品は身体に有効な植物成分を使った、医薬品に近い考え方で用いられていたことがわかります。
自然界に存在する植物や粘土、鉱石のチカラは現代にも通ずる普遍的なもの。
オーガニックコスメとは、世界各地に何千年も前から伝承されてきた植物療法の知識が活かされた文化遺産ともいえるものなのです。
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